マカイラ株式会社 | 社会変革の実装パートナー

ADVOCACY for CHANGEMAKERS

News

新着情報

弊社シニアコンサルタント小野寺晃彦が参画する、地方自治研究機構「自治体マネジメント研究会」による令和7年度調査研究報告書が公開 2026.04.03

パブリックアフェアーズの専門ファームであるマカイラ株式会社(東京都千代田区、代表取締役CEO:藤井宏一郎、代表取締役COO:高橋朗、以下マカイラ)は、弊社シニアコンサルタント小野寺晃彦が委員として参画した、一般財団法人地方自治研究機構「自治体マネジメント研究会」による令和7年度調査研究「政策評価の理念と現実に関する調査研究」の報告書が公開されたことをお知らせいたします。

令和7年度「政策評価の理念と現実に関する調査研究」概要

1990年代以降に普及した自治体の政策評価は、現在では制度の形骸化や「評価疲れ」といった課題に直面してます。本調査研究は、こうした現状を踏まえ、学識者と自治体実務者による議論および全国的な実態調査を通じて、評価制度の課題構造を多角的に分析しました。その上で、評価を単なる事務作業から政策の改善や意思決定に資するツールへと転換するため、指標の見直し、重点化、デジタル活用などの具体的な方策を提示し、今後の自治体マネジメントの方向性を示しています。

▼概要版

https://www.rilg.or.jp/htdocs/uploads/protect/R5_chousa/R7_12_g.pdf

▼本文

https://www.rilg.or.jp/htdocs/uploads/protect/R5_chousa/R7_12.pdf

本報告書のうち、弊社シニアコンサルタントの小野寺が執筆を担当した「第8章」の概要を抜粋してご紹介します。

第8章 企業の成功 / 挫折事例から学ぶ政策評価の戦略的活用

本章は、企業の業績評価における成功・挫折事例の分析を通じ、形骸化や「評価疲れ」が指摘される国や地方自治体の政策評価を、戦略的な経営ツールへと再生させるための提言を行うものである。1970年代以降のNPM(New Public Management)の潮流の中、日本の行政にもKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)やEBPM(Evidence-based Policymaking)が導入された。しかし、これらは予算削減や統制の手段として扱われることが多く、現場では膨大な資料作成自体が目的化する「コックピット経営」(過剰測定)の弊害が生じている。

民間企業の歴史を紐解くと、評価制度は「管理統制」から「組織の整合性」「経営戦略ツール」「俊敏性の確保」へと目的を進化させてきた。企業の業績評価の成功事例は、指標を単なる数値目標ではなく、組織文化や行動指針と一体化させ、より挑戦を促す制度へと進化させている点に特徴がある。一方、挫折事例からはより切実な教訓が得られる。初期の成果主義をそのまま人事評価に適用し、組織が混乱した事例や、3,000もの指標で現場が疲弊した事例は、機械的な運用や過剰な管理が組織を毀損することを示している。過剰な指標を絞り込み、これらに基づいた企業経営を行う「ダッシュボード経営」へ転換した経緯は、国や地方自治体の行政改革への重要な示唆となるのではないか。

結論として、政策評価を従来の「予算統制・人事評価ツール」から、トップマネジメントが意思決定を行うための「羅針盤」へと捉え直すことを提言する。具体的には、データ重視の文化を定着させ(フェーズ1)、事業評価により蓄積されたデータのなかから、真に行政経営に必要な重要指標を厳選して、トップマネジメントに活用するためのダッシュボード化し(フェーズ2)、将来的にはAIなどを活用した高度な効果検証を活用する(フェーズ3)という段階的な進化である。国よりも住民に近く、機動的な地方自治体こそ、この「ダッシュボード経営」を実践し、データに基づくガバナンスの先鞭をつけることが期待される。

(マカイラ株式会社シニアコンサルタント/マカイラ公共政策研究所 研究員 小野寺 晃彦)

【報告書 目次】

序章 「政策評価の理念と現実~評価疲れに悩む自治体への処方箋」研究会の概要 (早稲田大学 政治経済学術院 教授 稲継 裕昭)
第1章 政策評価の日本的パラダイム ―マクロとミクロから考える― (京都橘大学 経済学部 教授 竹内 直人)
第2章 総合計画の業績測定が生む職員意識の乖離 (広島修道大学 国際コミュニティ学部 准教授 山中 雄次)
第3章 自治体政策評価の 30 年 ― 評価ロックインへの処方箋 ― (明治大学 公共政策大学院 ガバナンス研究科 専任教授 西出 順郎)
第4章 JICAの事業評価から地方自治体の政策評価を考える (広島市立大学 国際学部 教授 佐藤 敦郎)
第5章 自治体における持続可能な評価について ―千葉市における評価制度の変遷を通じて― (内閣府地方分権改革推進室 参事官 川口 真友美)
第6章 富山県における政策評価の振り返りと主観的指標の活用 (富山県地方創生局長 滑川 哲宏)
第7章 瀬戸内市の政策評価 ~自治体「統合報告書」への挑戦~ (瀬戸内市 総合政策部 企画振興課 課長補佐 仁科 佳菜子)
第8章 企業の成功/挫折事例から学ぶ政策評価の戦略的活用 (マカイラ株式会社 シニアコンサルタント マカイラ公共政策研究所 研究員 小野寺 晃彦)
終章 日本の政策評価 ―悪循環を断ち切ってより良い政策形成へ (早稲田大学 政治経済学術院 教授 稲継 裕昭)

一般財団法人地方自治研究機構概要

一般財団法人地方自治研究機構は、少子高齢化、国際化、経済構造の変化等に伴い、地方公共団体が対応を迫られる福祉、健康、地域づくり等の諸課題に関する調査研究並びに地方公共団体の法制執務支援等を行い、もって地方自治の充実発展に寄与するとともに、活力ある地域社会の実現に資することを目的として設立された機構です。
公式サイト▶https://www.rilg.or.jp/htdocs/

top