未来社会のための新規創出
大畑 慎治 Makaira Art&Design 代表
これまでどんな仕事をされていたのですか。
大学院卒業後、メーカーの研究職として就職。1年目から新規創出に挑戦する特殊部隊に配属されたこともあり、入社してから10年間、会社から細かなミッションはふってこず、社内イントレプレナーとして仕事をしていました。常に自主的な挑戦が求められる中、新規研究分野の立ち上げ、新商品の企画・開発、新ブランドの立ち上げ、新規事業の立ち上げ・推進・マネジメントなどを行ってきましたが、僕自身は入社2-3ヵ月目くらいから、社内リソースをベースにしたアプローチではどうしてもあるべき挑戦ができないと思い、ずっと異業種連携、産官学民連携などのコレクティブインパクトをベースとした新規創出を手がけていました。また元々はサイエンティストでしたが、就職活動時代からマーケティングやブランディングの領域にシフトしていくことを考えていたので、社会人1-2年目は週2冊(2年で200冊)のビジネス書を読むことを決めて実行したり、当時日本で唯一芸大で開講していたMBA(MBA in Design)に挑戦をしたり(首席で卒業)、外資の戦略コンサルのメンバーとプロボノでNPOの経営コンサルをしたり、ロンドン芸大(セントラル・セント・マーティン)のサマースクールで学んだりしながら、メーカーにいながらも、サイエンティストから事業開発、マーケティング、ブランディング、企業経営のプロにキャリアをシフトしていった経緯です。
その後、メーカーを出てからは、大手企業のコーポレートブランディングに特化したブランドコンサルティングファームの戦略プランナー、新産業や新規事業に特化したビジネスコンサルティングファームのグループディレクター、ソーシャルクリエイティブグループの執行役員 兼 事業・ブランド戦略本部長のポジションで、様々な業界企業の経営支援、事業開発、ブランディング、コレクティブインパクトを手がけたりしてきました。2016年以降は特にSDGsやソーシャルグッド領域にフォーカスをしてそれらの仕事をしたり、2018年にはSocial Out Tokyoというソーシャル事業共創プロジェクトの総合プロデュースを手がけたり、2019年からは早稲田大学のビジネススクール(MBA)でソーシャルイノベーションのクラスを担当したりしつつ、現在に至ります。
そこからマカイラに転職したきっかけを教えてください。
上記の話を聞くと、一見いろんなことをやっている人のように感じるかも知れませんが、僕の中ではそうではなく、一貫して「未来社会のための新規創出」を行ってきた経緯です。その手段として、メーカー時代はコレクティブインパクトも含めて「イントレプレナー×事業開発」の可能性を追求していた形ですし、それ以降は「新産業や新市場創造×事業開発」「ソーシャルグッド×事業開発」、もしくはそれらをより加速度的に社会に実装していくための「事業開発×ブランディング」「事業開発×クリエイティブ」「事業開発×人材創出」などのアプローチをずっと追求し続けている形です。そんな挑戦の日々の中で、特にソーシャルグッドな領域における、あるべき未来社会のための産業や事業の創出に挑戦している時には、既存の政策や法律が邪魔をして物事が上手く前に進められないようなことも度々ありました。
そんな時、マカイラの経営メンバーのお話を聞く機会があり、マカイラが強みとする国、政府、行政、法律等へのパブリックアフェアーズのアプローチと、僕自身が強みとする産業、市場、事業、生活者へのマーケット創造、ビジネス創造、ブランド創造、クリエイティブ&コミュニケーションのアプローチをかけ合わせることで、より良い社会形成のためのアプローチがもっと上手くできるのではないかと思い、マカイラにジョインをすることになりました。
今どのような仕事をされているのですか。
マカイラにジョインをしたのは2021年5月ですが、今のメインの仕事は「ソーシャルグッドの社会実装を目的としたビジネス&ブランド開発カンパニー」Makaira Art&Design(MAD)を軌道に乗せていくことです。MADは2021年8月に立ち上げましたが、社会の中でのソーシャルインパクトを高めていくために、MADのビジネスを軌道に載せ、ビジネスのエコシステムを確立し、社会でMADブランドを確立し、志に共感する仲間と共に挑戦をしていく体制を作っていくことに、今、挑戦をしています。外から見てわかりやすいのは「クライアントワーク」と「自社事業」ですが、クライアントワークでは大手企業さまが社会の中でのSDGsやソーシャルグッドバリューをもっと生み出していくための経営戦略方針・事業戦略方針の策定、それらに挑戦していくためインプットや組織マインドセット、事業やブランドのコンセプト開発、具体的な事業・商品・サービス・ブランドの開発・立ち上げ、中長期でのコーポレートブランド変革から、それらの社会実装をより加速させていくためのクリエイティブ制作やコミュニケーション施策などまで一気通貫で行っています。また大手企業さまだけではなく、これからの新たな未来を創り上げていくソーシャルベンチャーやスタートアップ、ソーシャルアントレプレナーに対しても、同様の支援を行っています。
自社事業では、特に「ザ・ソーシャルグッドアカデミア」の立ち上げや「MAD SDGs(YouTube)」のプロデュースを手がけています。これらは、僕たちが自分たちの手で挑戦をしているボリュームだけでは、社会全体における大きなソーシャルバリューを生みきれないと思っていて、より大きなソーシャルバリューのためには、もっともっとソーシャルチャレンジャーを生み出して、その具体的な社会実装をリアルに実現していく必要があると思っているためです。ザ・ソーシャルグッドアカデミアは2022年10月に開講し、現在、第1期の運営をしていますが、今後も毎年10月に開講をして、そのインパクトとコミュニティを大きくしていきたいと思っています。MAD SDGs(YouTube)は2021年9月にスタートをしましたが、毎月ソーシャルビジネスにチャレンジをするゲストをお呼びして、机上の話ではなくソーシャルビジネス挑戦のためのリアルを紐解いていったり、そのネットワーク・コミュニティからの更なるソーシャルインパクト創出の模索をしています。
今後のビジョンについてお聞かせください。
は「自分が死ぬ時に社会に対して実際にどういう足跡を残すことができたか」を意識して仕事を考えています。それは、今を生きる人たちに対してはもちろん、自分自身が死んだ先の未来を生きる人たちのために、実際にどういう社会を残してあげることができたかを大切に考えているということです。世の中には、解決しやすい社会課題と、解決しにくい社会課題があります。解決しやすい社会課題とは、現状の延長で解決できる社会課題で、往々にして、経済性があったり、ビジネスになりやすかったり、近年のテクノロジーの力で解決ができたりする社会課題なので、誰かが解決をして世の中をより良くしてくれます。この領域はシンプルに、解決をしてくれるプレイヤーの事業開発やブランディングやクリエイティブを支援することで、我々としてもソーシャルバリューを生み出すことができます。一方で、解決しにくい社会課題は、一見ビジネスになり難いように見えたり、マイノリティの問題のように一見市場が小さく見えたり、環境問題のようにテクノロジーのイノベーションがないと解決できない領域であったり、企業一社では解決できなくて様々な業界・業種のコレクティブインパクトが必要な内容であったり、既存の産業構造や法律や政治や世論や既得権益の問題でテコ入れするのが難しかったり、そういう社会課題になります
このような領域は解決が非常に難しくプレイヤーも少ないですが、この領域こそ、マカイラのパブリックアフェアーズの力と、MADの事業や市場の創造・共創、ブランディングやクリエイティブ&コミュニケーションの力を組み合わせることでソリューションが生まれる、今まだ社会の中で実行できる企業がほとんど存在しない貴重なアプローチだと思っており、これからそのアプローチを確立していくことで、ソーシャルバリュー創出の新しいスタイルを世の中に創出していきたいと思います。これまで自分自身が培ってきた、企画・プランニング、新規事業開発、商品・サービス開発、クリエイティブ制作、コミュニケーション施策などの力を、もっと社会のために発揮していきしたいと思っている方々、そしてこのようなマカイラ、及びMADのチャレンジにご興味のある方々とは、社内外を問わず、ぜひ一緒に社会をアップデートしていければと思っています!!!
大畑 慎治 Makaira Art&Design 代表